駅近といえる徒歩圏内は何分?売るべきか売らないべきか、リビンマッチのアンケート結果から読み解く

こんにちは、リビンマッチ公認!リビンマッチの歩き方~不動産テックとは~です。
リビンマッチはリビン・テクノロジーズ株式会社が運営する日本最大級の不動産業界全体を網羅する比較ポータルサイトです。

・駅近は駅から徒歩10分圏内!
・住むなら駅から徒歩15分圏内が理想
・我慢できるのは駅から徒歩30分圏内

住まいを選ぶときのポイント!「駅近」とは?

住まいを選ぶとき、あるいは店舗を選ぶとき、さまざまな要素が検討材料になります。意外に思われるかもしれませんが、最寄り駅からの所要時間も判断材料として重要視されるポイントです。

「駅近」という謳い文句も目にしますが、実のところ「駅近」という言葉に厳密な定義はありません。駅から近いというのは、あなたの感覚ではどの程度の距離感でしょうか?

ここでは、不動産の一括査定サービス「リビンマッチ」を運営しているリビン・テクノロジーズが「駅近は徒歩何分までか」というアンケート調査を行った結果を独自に読み解いていきます。

アンケートの対象となったのは、リビンマッチを利用した首都圏在住の20歳以上の男女180人です。調査時期は2019年5月16日~6月5日です。

「駅近」だと感じるのは徒歩10分圏内!

まず「駅近だと感じるのは徒歩何分までか?」という質問に対する回答の結果を見てみましょう。

※リビンマッチ調べより引用

10分と答えた人が31.1%、5分と答えた人が25.0%と、過半数を占めています。16分以上と答えた人も10.0%ほどいます。いっぽう、1分~4分、6分~9分の回答数は、それぞれは少ないのですが、足し合わせるとそれなりに影響を持ちそうな回答数になっています。

データの特徴を表す値を「代表値」といいます。よく使われるのは「平均値」です。今回の「駅近だと感じるのは徒歩何分までか?」というデータにおける平均値は8.2分です。「それ以上」は平均値に含めることができないため、1分~15分の回答について、割合を考慮して平均した値が8.2分、ということです(加重平均)。

ですが、このグラフは極端に偏っています。実のところ、このように極端な偏りが現れるグラフにおいては、平均値を見てもあまり有意義ではありません。

ここからはリビン・テクノロジーズのアンケート結果を独自に読み解いていきます。まず、グラフから「実際の回答数」を推計しました。推計した回答数から改めてグラフを作成したところ、リビン・テクノロジーズが示したグラフとほぼ一致しました。おそらく「実際の回答数」の推計に大きな間違いはないでしょう。

※リビンマッチ調べより筆者作成

さて、ここから「累積度数分布表」というものを作成します。

※リビンマッチ調べより筆者作成

このグラフは、それぞれの回答の値を頭から順番に足し合わせていったものです。「1分」から順番に足していくと100%に近づいていき、「それ以上」まで足し合わせると、ぴったり100%になります。

それでは、このグラフから読み取れることを解説します。まず「徒歩5分以内が駅近である」と考えている人は、30%を越えていることがわかります。そのあとは徐々に割合が増えていき、徒歩10分以内になると回答数が跳ね上がります。実に80%弱の人が「徒歩10分以内が駅近であると感じる」と答えているのです。

駅近と感じられる平均値は駅から8.2分ということですが、あまり参考にはならないでしょう。この調査結果においては「駅近とは徒歩10分圏内である」と考えてよいのではないでしょうか。

住むなら駅から徒歩何分までが許容範囲?

同じアンケートにおいて「住むなら駅から徒歩何分までが許容範囲なのか?」という質問も設けられていました。こちらの回答結果も見てみましょう。

※リビンマッチ調べ

リビン・テクノロジーズは「アンケート全体の平均は10.2分」であり「“駅近=徒歩圏内”と考えている人が多い」と結論づけています。

ですが、この回答結果においては、5分、10分、15分において、回答数が飛び抜けて多い、という結果になっています。先ほどのべたように、極端な偏りがあるグラフにおいては、平均値はあまり有意義ではありません。「”駅近=徒歩圏内”と考えている人が多い」という結論にも疑問が残ります。「15分」という回答、および「それ以上」という回答が、無視できない割合まで大きくなっているためです。

まず、先ほどと同様に実際の回答数を推計し、改めてグラフを作成することで推計結果がおおむね正しいことを検証しました。推計結果と検証のグラフは省略します。

さて、「住むなら駅から徒歩何分までが許容範囲なのか?」という質問に対する回答の「累積度数分布表」を作成してみましょう。

※リビンマッチ調べより筆者作成

「駅近とは徒歩10分圏内である」という先ほどの結果とは、やや異なる結果となりました。「駅から10分までが許容範囲である」と答えた人の割合は、全体の64.4%に留まります。ですが「駅から15分までが許容範囲である」と答えた人の割合は92.2%にのぼるのです。

以上のことから得られる結論は「駅近とは徒歩10分圏内のことだが、住むなら徒歩15分圏内が許容範囲である。もちろん、徒歩10分圏内の駅近が望ましい」ではないでしょうか。

許容範囲の平均値は10.2分ということですが、回答結果が偏っているため、平均値があまり参考になりません。

遠くて住めない距離は?

同じアンケートにおいて「駅からどのくらい離れると遠くて住めないと思うのか?」という質問も設けられていました。こちらの回答結果も見てみましょう。

※リビンマッチ調べ

これも同様に、累積度数分布表を作成してみます。

※リビンマッチ調べより筆者作成

遠くて住めない、という人の割合が顕著になるのは、徒歩15分以上からでしょう。32.7%、約3分の1の人が「徒歩15分以上は遠くて住めない」と感じます。ですが、徒歩20分以上でも63.3%しか「遠くて住めない」とは感じません。徒歩26-30分程度でようやく80%、徒歩31-35分で90%の人が「遠くて住めない」と感じるようになります。

これは「住むなら駅から徒歩何分までが許容範囲か?」という質問の回答結果とは、やや食い違います。

理想としては「駅から15分以内が許容範囲」なのですが、実際には駅から近いほど地価が上がります。したがって「駅から30分以上の土地には住めないが、それ以内なら我慢できる」という結果になっているのではないでしょうか。

アンケート全体の平均は23.5分ですが、これも回答結果にかなり偏りがあるため、あまり参考にはできないでしょう。

いま物件を売るべきか売るべきでないか

ここではリビン・テクノロジーズが行った「駅近は徒歩何分までか」というアンケート調査の結果を、独自に読み解きました。

結論としては、いま駅から遠い物件を持っているなら、早めに売却を検討したほうがよい、ということです。特に空き家や空室を所有している方は、これからもっと売りづらくなります。

また、駅から近い物件を持っている方でも、何かしら特別な需要が生まれない限りは、物件の価格が上がることは難しいと考えておいたほうがよいでしょう。

今後、日本の人口は減少していきます。人口が減少することで、住宅の価格が全体的に下落します。さらに、駅から近くても空き家が多くなるため、我慢して駅から遠くに住む必要がなくなります。

リビン・テクノロジーズが実施したアンケート結果を分析したところ「駅から15分以内に住みたい」と思っている人が多いにもかかわらず「おそらく金銭面で折り合いが付かないため、駅から30分圏内で我慢している」という人がかなりの割合でいることがわかりました。人口減少にともなって、駅近へ引っ越す人が多くなることは想像にかたくありません。

空き家や空室をお持ちの方は、早めの売却を検討してはいかがでしょうか。

調査概要

■調査期間:2019年5月16日~6月5日
■調査手法:インターネット調査(任意でアンケートに回答)
■集計数:「リビンマッチ」を利用した首都圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)在住の20歳以上の男女180人
■調査回答者の内訳: 性別(男性:70.0%、女性:30.0%)
居住地(東京都:36.7%、神奈川県:23.3%、千葉県:15.6%、埼玉県:24.4%)
年齢(20代:1.1%、30代:5.0%、40代:22.2%、50代:35.0%、60代:26.1%、70代以上:10.6%)

出典:【調査】駅近は「徒歩8.2分」!│リビンマガジンBiz

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